クラブ初の6連勝を達成 “蒼きパワースポット”が須坂に帰還する

笑顔の戦士たちが須坂に帰ってくる。長野GaRonsはアウェイで4勝を積み上げ、連勝をクラブ初の6に伸ばした。その起点となったのは前回のホーム・つくばユナイテッドSun GAIA戦。接触プレーによる離脱者の続出など、さまざまな試練を乗り越えて涙の白星を飾った。以降の4試合も、不測の事態を克服しながら白星を連ねてきた。12月7-8日の次節を前に、その魅力と戦いぶりを再提示する。

文:原田 寛子/編集:大枝 令

ファンも涙する激戦、また激戦
アリーナに充満する無尽蔵の力

須坂市民体育館が歓喜で震えた。

2024年11月10日。Sun GAIAとの第2戦は、「激戦」という言葉では収まりきらないほどの様相を呈していた。セットカウント2-2。互いに一歩も譲らず、22-21と実に8回目のマッチポイントを迎えた。

キャプテンでアウトサイドヒッター(OH)酒井駿とミドルブロッカー(MB)小林雅治。2枚ブロックがつくばのアタックをシャットアウトした。

ガロンズの勝利を告げるブザーが鳴り響く。

セッター(S)志水一哉は倒れ込んで喜びに浸る。オポジット(OP)常田将志は笑顔でこぶしを天高く突き上げる。選手全員がコートに飛び出し、抱き合い、喜びを分かち合った。

昨季V2の相手から2連勝。しかも負傷者を複数出すほどの激戦だったからこそ、歓喜もひとしおだ。その結末を目の当たりにし、涙を流すファンの姿もあった。

そしてコートの中にも、涙をぬぐう選手が一人。
最終局面でブロックに跳んだ小林雅治だ。

「痛い状態で無理してでも出た2人のためにも、なんとか勝ちたかった。勝った瞬間はそのことを思って…」

あふれる涙を隠すように、手で目を覆った。

第4セット中盤。ブロックに跳んだ酒井が、勢い余ってガロンズのコートに着地した相手選手と接触。その直後、今度はブロックアウトのボールを追ったリベロ(L)丸山正和とOH川角純平がコート外でぶつかる。酒井・川角ともに大事をとってベンチに下がっていたのだ。

それでも2人とも、最終セットには再びコートへ。直前のアクシデントを微塵も感じさせないパフォーマンスを見せ、紙一重の激戦を制してみせた。

まさにガロンズの情熱が、魂が、もたらした勝利だった。

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地元にファンに元気を届けたい
衝き動かすのはバレーへの情熱

ボールに食らいつく。諦めない。一体感を持って戦う――。それらは全てガロンズの根源。なぜ彼らは、そこまでひたむきに戦うのだろうか。

全員が社会人として働き、練習は夜7時30分からの体育館練習もしくは6時30分からのトレーニング。それを週6日こなす。「うちは練習量が多いチーム」と篠崎寛監督は口にする。

須坂市内で働く選手もいれば、上田市など離れた場所で働く選手も。それでも日々疲れた身体を抱えながら練習に励むのは、全員がバレーボールをこよなく愛するから。そして応援してくれる人にパワーを伝えたいからだ。

だからこそ練習から選手たちは、公式戦さながらの大きな声でコート内を駆け回る。公式戦になれば当然、それ以上の熱量。全員が同じベクトルで作り出すガロンズのパワーは、声や笑顔とともに蒼きエナジーとして体育館に充満する。それがファンの心をグッとつかむ。

コート外でも、地域のイベントに積極的に参加する。「地元須坂市にVリーグのチームがあることを知ってもらいたい、チームがあることで地元をもっと盛り上げたい」と、選手たちはよく口にする。

その全ての熱源は、須坂市民体育館で行われるホームゲームのコートなのだ。

アウェイでも試練に直面しつつ
連日フルセットの接戦を制す

前回ホームでの激戦を転機に、チームは2連続アウェイで連勝街道をひた走る。しかも、またしても試練に直面しながらだ。

東京ヴェルディとの前節。ガロンズは体調不良の選手が続出し、酒井、小林雅治、竹内優汰が離脱していた。特に酒井は精神的な支柱でもあるキャプテン。しかし、誰が出ても同じ動きができる攻守一体型の「ガロンズシステム」を遂行しながら踏ん張る。

それに加えて内定選手の小林慧悟が起用され、奮闘した。常田は「慣れない中で小林慧悟が踏ん張ってくれた」と称賛。さらに「コート内でのエネルギーを上げれば、ミスが減って自分たちらしくプレーできる」と話すように、苦しい場面で声を出してコート内のエネルギーアップを図った。

連日フルセットのハードな戦いを制して連勝。アウェイ4戦を見事にすべて白星で飾り、チームは11月9日のホームゲームから破竹の6連勝とした。

戦いの舞台は再び須坂へ
辰年のラストゲームで連勝を

たくましさを増しながら白星を重ね、ガロンズの戦士たちが戻ってくる。12月7-8日、須坂市民体育館はパワースポットと化す。

Vリーグ男子東地区8チームの中で堂々の2位。首位は昨季の旧V2を制した北海道イエロースターズで、旧V3のガロンズから見れば“格上”と呼ぶべきチームも順位表の下に従えている。

今回ホームに迎える埼玉アザレアも難敵だ。昨季V2で10チーム中5位となっており、今季もガロンズに次ぐ3位。厳しい戦いが待っているが、連勝を重ねながら手応えを深めた選手たちの目に迷いはない。

「アウェイでも大きな声を聞かせてくれるが、ホームでは一層大きい。自分たちが勝ちたいという思いもより一層強くなる」と情熱をたぎらせる常田。小林雅は「格上のアザレアだけれど、臆してはいられない。自分たちのパフォーマンスを出すだけ」と意気込む。

2024年ラストゲーム。
蒼き臥竜は辰年の最後に、その真髄を示す。


Vリーグ男子東地区 埼玉アザレア戦(12月7-8日)ホームゲーム情報
・クラブ公式X(旧Twitter)
https://x.com/NaganoGarons/status/1864507594070773947
・クラブ公式サイト
https://garons.jp/topics/%e3%80%9012%e6%9c%88%e9%a0%88%e5%9d%82%e5%a4%a7%e4%bc%9a%e3%81%ae%e3%81%8a%e7%9f%a5%e3%82%89%e3%81%9b%e3%80%91/
クラブ公式サイト
https://garons.jp/
Vリーグ チーム紹介ページ
https://www.svleague.jp/ja/v_men/team/detail/474

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