“フルセット不敗神話”が終焉 2桁勝利へ取り戻したい「チャレンジャー精神」

アウェイ広島TH戦の惨敗から1週間。2025年3月15-16日のSVリーグ男子第19節、VC長野トライデンツはANCアリーナにヴォレアス北海道を迎えた。GAME1は悪い流れを断ち切って3-1と勝利したものの、GAME2では今季初めてフルセットの末に黒星を喫する苦杯。2桁勝利への到達はお預けとなった。今シーズン幾度となく激闘を繰り広げたヴォレアスとの2日間を振り返り、敗戦からくみ取るべき教訓を探る。
文:大枝 史/編集:大枝 令
ヴォレアスの粘り強さに屈し
第5セットも終盤で逆転許す
“神話”が終焉の時を迎えた。
セットカウント2-0から連取され、フルセットにもつれ込んだGAME2。VC長野は今季、フルセットの試合は4戦4勝となっている。

しかし、第5セットを迎える前のコートサイド。選手たちは気迫が入っているようでいて、どこか不安の色を感じさせる。過去4試合がそうだったように、のびのびとチャレンジする気概は影を潜めていた。
「自分たちが2セット取って、どこか少し緩んでいる部分があったかもしれない。これまでのフルセットに入る前に比べたら、少し勢いが足りなかったかなと終わってみれば感じる」

アウトサイドヒッター(OH)工藤有史はそう振り返る。セッター(S)早坂心之介は、オポジット(OP)ウルリック・ダールとトスが合わない課題を引きずったままだった。
「そういった面だったり、今日に関してはブレイクを取れるところで取れなかったり。不安要素が結構みんなの中であったと思う」と明かす。

メンバー交代などでレセプションの精度を高め、粘り強く追いすがってきたヴォレアス。VC長野はストレート勝ちと押し切れなかっただけでなく、背後からの足音に身をすくめていた。
1-1からOH樋口裕希のブロックでブレイク。7-6の場面ではMBトレント・オデイが相手のMBティモ・タンメマーのクイックをシャットアウトする。

しかし先行はするものの、相手の執念深いプレーが光る。2-1と9-7の場面での工藤、11-9ではウルリックのサーブで大きく崩しながらもブレイクを取り切れない。
すると、普段なら出ないミスが頻発。タイムアウトを挟んで連続ブレイクを許し、12-13とこのセット初めてリードされる。そして14-14からタンメマーに連取され、力尽きた。

「今日に関しては相手のディフェンスが良かったし、泥くささとかメンタルの部分でも相手が一枚上手だった」
工藤が語る要素は本来、VC長野が勝負どころで発揮してきたもの。お株を奪われるような展開で、手痛い黒星を喫した。
序盤から漂っていた不穏な伏線
不安を抱きながら進むセット
とはいえ巻き戻せば、第2セットまでも決して順風満帆なわけではなかった。スコアの上では25-18と25-19。余裕さえ感じさせる数字だが、潜在的な不安要素はあったという。
工藤が明かす。
「1〜2セット目はサイドアウト率自体はよかったと思うけれど、Aパスが返ったときに1本で決まる本数があまり多くなかった印象だったので、少し気にしていた」

特にエースのウルリックがブロックでシャットされたり、打っても拾われたり。アタック決定率は40%と、本来の躍動感を封じられる。
ブレイクを重ねていたのも、アタックラインの踏み越しなど相手のミスに救われた側面も否めない。

ヴォレアスのOH池田幸太は「昨日の試合から振り返って、相手のオポジットの選手をしっかり止めることはできていた」と納得の表情を浮かべる。
そして第3セット以降はレセプションの改善とクイックに対するディフェンスなどを修正し、一気に形勢をひっくり返した。
GAME1は臙脂色に染め抜く歓喜
ミーティングで一体感を取り戻す
目前で節目の勝利を逃した。しかも、2-0からの逆転負けでだ。そのため後味は良くないが、振り返ればGAME1は快勝。連敗中の悪い流れを断ち切れずにいるわけでもなかった。
第1セットを先取されたものの、第3セット以降にサーブが効果を発揮。特に工藤は鬼気迫るような強烈なサーブが光り、一気に6連続ブレイクと気を吐く。

第4セットも交代出場した最古参のMB波佐間泰平がクイックで24点目を取り、会場のボルテージが高まる。
最後はウルリックが決め切り、相手を寄せ付けずに白星。この日は来場者全員にTシャツが配布されており、会場は臙脂色の歓喜に染まった。

「1セット目を取られて、『ちょっとヤバいかな』と思うところもあったが、しっかりとチームとして修正して勝つことができたのでよかった」
「先週は自分たちが何もうまくいかないという状況があった中で、今週は質の高い練習ができて、しっかりと準備はできていた」
樋口が口にしたように、気持ちを切り替えて勝ち切ることができたのは大きな収穫だった。

その背景にあったのは、チーム内でのすり合わせだ。前節・広島TH戦の2試合で惨敗したのを受け、オフ明けのトレーニング前に選手同士でのミーティングを行った。
樋口が明かす。
「もう一回気を引き締めて終盤戦に向けて一人一人が意識を高く持って頑張っていこうという、全体的な取り組み方の話がメインだった」

山田も同様に、「コンビが合わず今までなあなあにしていたところをしっかりスパイカーとセッターで詰めたり、ディグとブロックの関係もしっかり話し合いができた」と話す。
チームは一体感を取り戻し、今節のヴォレアス戦に臨んでいた。
残り8試合のSVリーグ初年度
手痛い黒星を薬に終盤戦へ挑む
10勝まで目前に迫りながら足踏みを余儀なくされ、シーズンは残り8試合となった。この2試合からくみ取るべき課題は何か。

川村慎二監督はGAME2の試合後会見で「5セット目に行けば本当にどちらが勝つかわからないと思うし、最後は気持ちと集中力。その部分でヴォレアスさんの方が上回った」と振り返った。
裏を返せば過去4回は、VC長野がことごとく「気持ちと集中力」で上回って快哉を叫んできた。

しかし今回は「『あと1セット取れば勝てる』という甘さが出てしまった」とOH藤原奨太。工藤が言及した「緩さ」を、キャプテンも同様に感じていた。
ミーティングなどを通じて一体感を取り戻しはした。しかし隙を見せてなお勝てる相手など、このリーグには存在しないだろう。

「これから格上のチームや順位の近いチームと対戦する中で、苦しい展開は絶対に何度も来る」
「今日みたいに不安要素を残したままではなくて、みんなで声を掛け合って一つになってから、みんなで戦うことが大事」
そう話す早坂。黒星を高い授業料と受け止め、残り8試合にチャレンジする。

GAME1 監督・選手コメント(クラブ公式サイト)
https://vcnagano.jp/match/2024-2025-sv-div19-1
GAME2 監督・選手コメント(クラブ公式サイト)
https://vcnagano.jp/match/2024-2025-sv-div19-2
フォトギャラリー
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SVリーグ男子 順位表
https://www.svleague.jp/ja/match/detail/32231