スポーツの力を結集して“信州をもっと元気に” 長野県と10団体が包括連携協定

長野県と県内プロスポーツクラブの運営会社など10団体が2025年3月19日、「スポーツによる元気な信州づくり包括連携協定」を締結した。長野県庁で締結式などがあり、阿部守一長野県知事も臨席。観戦などに伴う活力創出と観光誘客の両面から、協力して事業を進めていく。新年度の事業計画では、県内スポーツ観戦のサブスクリプションサービスが説明された。
文:大枝 令
「信州スポーツ観戦サブスク」案
県民参加型予算を活用して始動へ
参加団体は信濃グランセローズ、松本山雅FC、AC長野パルセイロ(レディースを含む)、信州ブレイブウォリアーズ、ボアルース長野、VC長野トライデンツ、ルートインホテルズ信州ブリリアントアリーズ、長野GaRonsの各運営会社に加え、公益財団法人長野県スポーツ協会、公益財団法人長野県障がい者スポーツ協会。

連携して新たに2025年度から行う具体的な取り組みの一つは、レジャー施設・スポーツ観戦周遊サービスのサブスクリプション(サブスク=月間定額制)導入。スポーツ観戦のハードルを下げつつ、既存のファン層に他種目への誘導を促す。
レジャパス、ソノリゴなどに代表される全国展開中のサブスクシステムを活用。県内外からの誘客を図る。クラブの立場からは純粋な集客増のほか、空き席の有効活用や広告費無料でのPRなどが見込めるという。
県民参加型予算「提案・共創型」の採択を受けたNICOLLAP(一般社団法人長野ITコラボレーションプラットフォーム、長野市)が行う。今後各クラブの合意を得ながら進め、担当者によると秋頃のローンチになる見込み。
新規ファン層の獲得、多種目観戦文化の醸成、観光も含めた周遊の促進などを狙う。細部は今後詰めていくが、観戦種目数によってインセンティブを設けるなどのキャンペーンも張っていく予定だという。
その前提として、共創・連携体制の構築を図る。
NICOLLAPはスポーツチームを「公共財」と位置付け、まず各クラブ・団体がサステナビリティを確保できるようサポート。各クラブごとに課題のヒアリングやソリューションの提案を行いつつ、セミナー開催による運営ノウハウの蓄積や相互プロモーションの機会創出などを狙う。

各クラブからの意見交換も活発に
競技を超えた“都道府県対抗”案も
阿部守一知事らのほか、各クラブ・団体の代表者が参加した。まず包括連携協定書に署名。NICOLLAPによる事業説明の後は、意見交換などを行った。
ボアルース長野の土橋宏由樹GMからは「複数の競技で県内のチームが特定の他県と対戦する日程が重なった場合、“県対抗”の観点を打ち出せないか」という旨の意見があがった。

例えば北海道を例に挙げると、
vs北海道コンサドーレ札幌(サッカー)
vsレバンガ北海道(バスケット)
vsヴォレアス北海道、北海道イエロースターズ(バレー男子)
vsアルテミス北海道(バレー女子)
vsエスポラーダ北海道(フットサル)
などの日程がホーム/アウェイで重なる可能性があり、その場合に「長野県vs北海道 ◯番勝負」などのくくり方で注目度アップなどを図れる。このほか北海道であれば、ウインタースポーツも加えられる。日程は各リーグごとに決まるため偶発的だが、実現すれば新機軸の取り組みになるだろう。
このほか「県外・国外からの積極的な誘客策」「ハブとなる第三者からの発信強化」などの必要性などを訴える意見が出た。
2028年国スポ・全障スポも視野
アルクマも参加して機運醸成図る
「スポーツによる元気な信州づくり包括連携協定」は、2012年に県と7団体でスタート。その後でバレーボールなどクラブが増えたことなどから、今回新たに県と10団体で締結した。
阿部知事は冒頭の挨拶で、自身も県内でスポーツ観戦を楽しんでいることを明かしつつ、スポーツの持つ価値と行政の機能を掛け合わせていく必要性を強調した。

「いつも思うのは本当にファン、サポーター、ブースターの皆さんがすごくいきいきと応援している。こういう力を県民の皆さんに与えていただく、あるいは引き出せるのは、皆さま方のスポーツの力だと思っている」
「元気な長野県を作るためには、皆さま方の力が極めて重要。一方通行で何かお願いするだけではなく、皆さんからご提案もぜひ積極的に頂戴しながら、一緒になってスポーツを通じて持続可能で活力のある長野県を作っていきたい」

「(県行政と各団体が)力を合わせると、もっといろんな取り組みや楽しい取り組み、あるいは世の中を良い方向に変えていくことができると思う」
こうした取り組みも交えながら、長野県としては2028年の信州やまなみ国スポ・全障スポ(国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会)への全県的な機運醸成も図りたい考え。

昨年に生誕15周年を迎えたアルクマも登場し、生誕年の「2009」を背番号とした新たな青色のコスチュームを初披露。各クラブのユニフォームを作成するクラウドファンディングも目標額を上回ってすでに作成・着用しており、今後も随時日程を調整して各クラブのホームゲームで応援に駆け付ける。
